アメリカで,中高生の始業時間を8時半以降にすべし,という勧告が医師会より出されたそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160615-00000051-reut-n_ame
青年期には起床や就寝が遅くなる体内メカニズムが働く,という研究結果に依拠するとのこと。若者が夜更かし・朝寝をするのは,誰もが知っていること。私も今は朝型ですが,院生の頃は完全に夜型でした。部屋に差し込んでくる夕日(朝日ではありません)で目を覚ましていましたから。
しかし,こういうことが生理的メカニズムによるとは初めて知りました。
この記事に接して,若者の起床時間と就寝時間のデータを作ってみたくなりました。2011年の『社会生活基本調査』から分布を出してみました。出所は,下記サイトの表1-2と表4-2です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001040668&cycode=0
仕事や学校のない,日曜日の分布を拾ってみました。若者の特徴をみるため,高齢者との比較もします。下表は,20~24歳と75歳以上の起床・就寝時間の分布表です。
上段の起床時間をみると,高齢者は早いですね。6時台が41.4%で最も多くなっています。対して若者の最頻階級(Mode)は,8時台です。10時以降も3割近くいます。
就寝時間の差は,もっとクリアーです。若者は半分以上が日をまたいでいます(私も,最近はそうなることが多いのですが)。一方,高齢者は大半が21~22時台に寝てしまうようです。師匠の松本先生も,夜9時ころには寝て,朝の5時半ころ起きると言っておられたなあ・・・。
右欄の数値は,下から積み上げた累積相対度数です。黄色マークをみると,高齢者の96.6%は朝の9時までに起き,92.6%は夜中の12時までに寝ることが知られます。
以上は分布ですが,起床時間の平均は20~24歳は8時45分,75歳以上は6時32分です。平均就寝時間は順に,24時16分,21時55分となっています。
ここでみたのは,若者の「遅寝・遅起き」,高齢者の「早寝・早起き」という,誰もが知っている傾向ですが,データで見るとこんな感じです。年をとるにつれて,前者から後者にシフトするのですが,それが身体の生理メカニズムを反映している可能性があるとは,初めて知りました。
青少年に,無理に早起きを強いるのは必ずしもよくない,ということになるでしょうか。寝ぼけた頭では,勉強も頭に入らないでしょう。最近,食後の昼寝を公認する学校もあるそうですが,「休む」ことは必要です。南欧流のシエスタがわが国にも根付くといいな,と思います。
少子高齢化が進み,社会を動かす主体に高齢者が多くなったら,そうならざるを得ないでしょう。
http://tmaita77.blogspot.jp/2016/05/2050.html