私は1976年生まれですが,この年に生まれた子どもの数は約183万人です。この183万人が,この世に生を受けて34年が過ぎたわけですが,各人,いろいろな人生を歩んだことでしょう。
学校への就学という点からすると,大学には行かず高校までで社会に出た者,大学に行った者,私のように大学院博士課程まで行った者もいれば,わずかでしょうが,義務教育(中学校)を卒業してすぐに社会に出た者もいると思います。
私が中学校を卒業したのは1992年ですが,この年の中学校卒業者数はおよそ177万人です(早生まれの除外などにより,出生人口より若干少なくなっています)。この177万人のうち,高校に進学したのは95.0%です。よって,私の世代(1992年中学卒業)でいうと,中学止まりは全体の5.0%となります(①)。
この177万人のうち,3年後の1995年春に,大学,短期大学,専修学校専門課程などの高等教育機関に進学したのは64.7%です(②)。よって,高校どまりであった者の比率は,100-(①+②)=30.3%となります。
私の世代(1992年中学卒業)の就学歴は,中学までが5.0%,高校までが30.3%,高等教育機関までが64.7%,という内訳になります。中学校の同窓会に50人集まったとすると,2人が中卒,15人が高卒,残りの33人が高等教育卒,という構成になるのが普通です。
この就学歴のプロフィールは,当然,時代とともに大きく変化してきたことでしょう。私は,1955年中学校卒業世代から,2006年中学校卒業世代までの就学暦を,上記と同じやり方で明らかにしました。資料は,文部科学省『文部科学統計要覧・平成22年版』によります。
横軸には,中学校を卒業した年が示されています。1955年に中学校を出た世代は,中学までが48.5%,高校までが40.8%,高等教育機関までが10.7%,という構成です。ところが,半世紀を経た2005年の中学卒業世代では,順に,3.5%,19.7%,76.8%,というように,状況が激変しています。
今日では,同世代の95%超が高校に進み,8割近くの者がさらに上の高等教育機関に進む,という具合です。まさに「学校化社会」です。教育を受けることは権利として保障されていますので,各人が進学を欲するならば,その希望は尊重されるべきでしょう。しかし,社会的同調の圧力が生じ,好むと好まざるとに関係なく,上級学校への進学が強いられる社会というのは,まことに「生きづらい社会」です。私のみるところ,現代の日本は,そういう社会になりつつあるように思えます。
このような社会における子どもの育ちとはどういうものか。この問題について,現在,考えをまとめているところです。