現在,さまざまな資料がデジタル化されています。私がよく使う,文科省の『学校基本調査』なども,最近10年くらいのものは,同省のホームページにて閲覧することができます。いちいち図書館に行って,分厚い現物をくくって,数字ハンティングする必要はないわけです。
国レベルの最大規模の社会調査である,『国勢調査』についても然りです。最近気づいたのですが,同調査の場合,デジタル化がさらに進んでおり,1920年(大正9年)の第1回調査の結果までさかのぼって,ホームページ上で見ることができます。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL02100104.do?tocd=00200521
いやはや,便利な時代になったものです。現在,こうした統計資料のみならず,書籍や雑誌論文もデジタル化しようという動きがあります。国会図書館の資料を検索すると,「(デジタル化の)作業中のため使用不可」という表示が多く出るようになりました。現在,修士論文や博士論文を書いている院生諸君にすれば,えらい迷惑ですが,あと少し辛抱すれば,自宅にいながらにして,学術研究ができる時代が到来します。私のような出不精の人間にとっては,この上なく有難いことです。
さて,上記のサイトにて,1920年の第1回『国勢調査』の統計を何気なく見ていたら,人口の配偶関係構成(未婚,有配偶,死別,離別)が,1歳刻みの年齢別に明らかにされていることを知りました。これを使えば,配偶関係別に塗り分けた人口ピラミッドを作図することができます。私は,この第1回調査と最新の2005年調査の統計を使って,このような図をつくってみました。
年齢の表記が2歳刻みになっていますが,1歳刻みの統計を使って作図しています。各年齢の棒グラフの長さは,人口全体に占める百分率です。母数(=100%)は,1920年が約5,600万人,2005年が約1億2,600万人です。
まず,人口ピラミッドの形状は,1920年はピラミッド型,2005年は壺型です。これはよく知られたことですが,その組成を配偶関係別にみると,なかなか面白いです。現在では,青色の未婚のゾーンが,上の年齢帯にまで伸びています。私は34歳ですが,2005年の統計では,この年齢の33%が未婚者です。85年前の1920年では,この年齢では,未婚者はほんの4%しかいませんでした。
また,最近では,紫色の離別者のシェアが大きくなっていることも注目されます。1920年では,このような離別者はほとんどいませんでしたが,その代わり,死別者が多かったみたいです。30代後半から40代の中年層でも,黄緑色が目立っています。戦争で配偶者と生き別れになった人間も多かった,ということでしょう。
人口ピラミッドの形状の時代変化は,多くの人が知っていることですが,その組成を調べてみると,興味深いものがあります。回を改めて,労働力状態(就業,失業,家事,通学…)の組成図もご覧に入れようと思います。