2011年5月17日火曜日

朝食を抜く子どもたち

 1月29日,「朝食欠食率」という記事を書きました。そこで明らかにしたのは,最近の20代男性の3割以上が朝食を食べない,ないしは大変横着な形でそれを済ませている,という事実です。はて,子どもについてはどうなのでしょう。

 文科省の『全国学力・学習状況調査』では,対象の児童・生徒に,「朝食を毎日食べていますか」と尋ねています。この設問に対し,「あまりしていない」もしくは「全くしていない」と回答した者の比率は,公立小学校6年生で3.6%,公立中学校3年生で6.7%です(2010年度調査)。このような「朝食欠食傾向児」の比率を県別に出すと,下の表のようになりました。


 小学校6年生は,最低は秋田の1.8%,最高は大阪の5.2%です。中学校3年生では,最低は岩手の3.4%,最高は同じく大阪の10.8%です。大阪の中学校3年生では,10人に1人が朝食欠食傾向児です。なお,小学校から中学校にかけての増加倍率という点でいうと,最も高いのは京都の2.62倍です。京都では,小学生と中学生の落差が大きくなっています。


 中学校3年生の朝食欠食傾向児の比率を地図化すると,上記のようになりました。8%を超える黒色の県は,神奈川,京都,大阪,奈良,和歌山,および高知です。赤色の地域の分布も併せて考えると,朝食を抜く子どもの比重は,都市的な地域で比較的高いようです。核家族化,共働き化が進んでいることの所以でしょうか。こうした条件を持つ(都市的)地域では,学校における食育の重要性が高いといえましょう。

 もっと細かな市町村単位のデータでみれば,貧困というような要因も出てくるかもしれません。1月12日の「健康格差」の記事で,東京都内49市区の肥満傾向児出現率は,生活保護率と関連していることを明らかにしました。子どもの食生活の乱れというのは,自然現象・生理現象のみならず,社会現象としての側面も持っていることを知りました。朝食欠食率についても,貧困指標との結びつきがおそらくあるものと推察されます。

 多額の費用をかけた,せっかくの全国調査です。結果を隅から隅までしゃぶり尽くせるよう,申請すれば,市町村別や学校別といった,細かなデータが使えるようにならないものかしらん…