2015年12月6日日曜日

宿泊・飲食業の学生バイト依存率

 前回の続きです。前回は地域別の高校生・大学生のバイト率を出したのですが,今回はそれを求めている需要側のデータです。

 学生の過重なバイトが生まれる要因としては,当人の生活苦と同時に,産業界の人手不足もあります。前者はプッシュ,後者はプルの要因といえましょう。

 低賃金で文句もいわずバリバリ働いてくれる若い学生では,喉から手が出るほど欲しい労働力です。とりわけ飲食業界ではそうでしょう。私はよく日高屋に行きますが,料理を運んでくるのはほぼ100%学生バイトです。こういう産業は,学生労働力によって成り立っているのだろうなと,強く感じます。

 総務省『就業構造基本調査』の産業カテゴリーに「宿泊・飲食業」があります。2012年の統計でみると,この産業の全就業者は374万人。このうち,在学者(≒学生バイト)は52万人。よってこの産業では,全就業者の13.9%,7人に1人が学生バイトということになります。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 宿泊・飲食業のデータですが,飲食業に限ったら値はもっと高くなるでしょう。しかしそれはできませんので,ひとまずこの業種に注目します。では前回と同様,都道府県別・政令指定都市別の数値を出してみましょう。


 全国値は13.9%ですが,値は地域によって大きく違っています。赤字は20%超ですが,やはり都市部で高いですね。マックスの千葉市では29.4%,3人に1人が学生バイトです。すごい依存率ですね。飲食業に限ったら4割,下手したら5割いっちゃうでしょうか・・・。

 都市部では学生が多いので,当然といえばそうですが,ブラックバイトのプル要因が多く潜んでいることにかんがみ,行政の側は対策に力を入れねばなりますまい。

 都市部では,地方から出てきて下宿している学生で,生活費を自分で稼がないといけない学生も多いでしょう。下宿性の仕送り額が近年激減し,今では3人に1人が月額5万円未満です。つまり,プッシュ(生活苦)の要因もあるとみられます。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/05/blog-post.html

 限られた資源でブラックバイト対策を行うには,ねらいをピンポイントで定めないといけませんが,前回の学生のバイト率,および今回の学生バイト依存率が高い地域は要注意といえましょう。