働く人の多くは民間企業勤務者で,会社の営利追及事業に従事しているのですが,それとは一線を画した「公」の仕事をしている人たちがいます。そう,公務員です。成熟社会になるにつれ,「公」の仕事の比重が増すのは道理で,これから先,公務員の役割は大きくなるでしょう。
個々人の力量形成だけでなく,国民を下支えるするに足る人員も揃えないといけませんが,国民あたりでみて,公務員って何%くらいいるのでしょう。ILOの統計から国別のデータを作ってみましたので,それをご覧に入れます。
私はILOサイトの「Data explorer」を使って,国別の公務員数と人口を呼び出しました。以下の統計表から,2017年の39か国のデータを得ました。公務員とは,公的部門で雇われて働いている人です。
主な国の公務員数は,日本が610万人,韓国が241万人,アメリカが2469万人,イギリスが549万人,ドイツが627万人,スウェーデンが145万人,デンマークが87万人ほどです。
日本はドイツよりちょっと少ないですが,人口は日本のほうがだいぶ多いですので,人口当たりの公務員比率はドイツのほうがぐっと高くなります。公務員数を人口で割ったパーセンテージは以下のようになります。
日本は4.8%となっています。39か国中31位,下馬評通りといいますか,低いですね。先ほど挙げた主要国のすがたを,約分して示すと以下のごとし。
日本 ・・・ 4.8% (21人に1人)
韓国 ・・・ 4.7% (21人に1人)
アメリカ ・・・ 7.6% (13人に1人)
イギリス ・・・ 8.2% (12人に1人)
ドイツ ・・・ 7.6% (13人に1人)
スウェーデン ・・・ 14.6% (7人に1人)
デンマーク ・・・ 15.2% (7人に1人)
ほう,きれいに3つの段階に分けられますね。日韓は国民21人に1人,米英独は12~13人に1人,北欧の2国は7人に1人です。
上述のように,成熟社会のステージに達している日本では,「公」の仕事がどんどん増えてきます。コロナウィリスが世間を脅かしていますが,感染症防止の政策を実行するのも公務員の仕事です。ただでさえ激務の厚労省の所轄ですが,職員さんは悲鳴を上げていることでしょう。
奈良の公営団地で,居住者が無くなった後,別の人が無断で入居する無法地帯になっているとのことですが,市はそれを把握せず,今後も調査する気はないという意向を示しています。人員不足が影を落としているのでしょうか…。
公務員を増やすべし。随所で,色々な識者がこう指摘していますが,国際比較のデータを引っぱり出すと,その余地はあるように思えます。ピチピチの若手だけじゃなく,ロスジェネの活用も視野に入れられるべきです。
喜ばしいことに,ロスジェネ限定の採用試験をする自治体,国の省庁が続出してきています。不幸なロスジェネ救済だけでなく,社会を下支えるする人的基盤の強化にもなります。それを進めないと,上記の奈良の団地のような無法地帯が広がってしまうでしょう。
ロスジェネのチャレンジャーの皆さん,公務員試験の情報収集や準備勉強には,実務教育出版の本をお勧めいたします。情報収集は,業界唯一の専門誌『受験ジャーナル』しかありません。