去る19日の朝日新聞によると,児童養護施設の職員を37年ぶりに増員するとのことです。児童養護施設とは,児童福祉施設の一つで,保護者がいない,ないしは虐待されている児童などを入所させ,養護する施設です(児童福祉法第41条)。1歳に満たない乳児の場合は,原則として,乳児院に入所することになっています。
このような措置がとられたのは,当該の施設に在所する児童が増えているためです。乳児院ないしは児童養護施設に在所している児童の数は,1995年では28,307人であったのが,2009年では32,866人にまで増えています(厚労省『社会福祉施設等調査』)。20歳未満の子ども人口1万人あたりの人数でみても,9.9人から14.2人へと増えているのです。
ところで,児童といっても,いろいろな年齢の子どもが含まれます。幼児もいれば,中高生のような,ある程度自我が固まった子どももいるでしょう。ベースの人口あたりの在所率は,どの年齢層で高いのでしょうか。また,50年間くらいの長いスパンでみて,在所率はどう変わってきているのでしょうか。
上図は,各年齢層の施設在所率を,1960年からおおよそ5年刻みで示したものです。施設在所率とは,施設在所者数を当該年齢人口で除した値です。図をみると,率が17.5を超えるブラックゾーンが,最近の小学校高学年から中学生の部分に広がっています。私としては,幼少の子どもが多いのではないかと思っていましたが,少し意外でした。また,昔のほうが率が高かったのではないかと予想していましたが,これも違っていました。
この年齢の子どもは,思春期にさしかかった難しいお年頃です。体も大きくなっています。このことを認識してでしょうか。施設の居室面積の最低基準を広げようという方針が打ち出されています。結構なことだと思います。
施設に入ってくる子どもの多くは,虐待を受けた経験を持っています。彼らに対するきめ細かなケアを講じるためにも,こうした条件整備はとても重要なことであるといえましょう。